北京


私が北京から帰国したのは2月末だった。
この半年ほどの間にだいぶん変わった印象を受けた。
まず、街があまり臭くない。
次に、車がクラクションをあまり鳴らさない。

だが、「あ~、やっぱり北京だあ!」 と感じたことも二度
ほどあった。

一度目は、天壇で。
雨も降っていないのに浅い水たまりがあった。あまり気に
せずその水たまりを踏んで横切ったら、
「久保さん、それ、子どものオシッコだよ」 との指摘。
見れば、尻割れパンツをはいた子どもがしゃがんで
もう一つ新たな水たまり(?)を近くに作っている。
勘弁してほしい。

二度目は、大学内のレストランで。
学会主催の食事会が、大学内のレストランであった。
食事の前にトイレに行ってみた。恒例のトイレチェックである。
トイレは清潔で、個室にはちゃんと鍵が付いていた。
トイレットペーパーもある。

安心して個室に入り、鍵を掛けて用を足していると、
なぜかいきなりドアが開いた。
驚いて見ると、年の頃は26くらいの女性がこちらを見下ろして
立っている。その女性は、「対不起!(ごめんなさい)」と
中国人にしては珍しく即座に謝った。
だが、ドアから手を離さない。ドアを開けたまま、私を見下ろし
ている。

以前も書いたが、中国のトイレは通路側を向いてしゃがむ
ようになっている。
見下ろす小姐、見上げる私。
数秒間見つめ合ったが、彼女はドアを閉めるそぶりを見せない。
頭にきた私は、腕を伸ばして内側からドアの取っ手をつかみ、
思いっきりドアを閉めた。

すると小姐、黙って隣の個室に入った。
他が空いとるんだったら、さっさとそっちに入らんかい!

その話を、一緒に来ていた先生にお話ししたところ、
20年ほど前にその先生が中国に留学していた頃に聞いたと
いう話を教えてくださった。

当時の中国では、女性の下着のデザインがバラエティーに富んで
いなかったせいか、中国人女性は、日本人の女性が身につけて
いる下着が珍しく、トイレなどでは日本人女性の履いているパンツ
を凝視していたらしいのである。

現在の北京では、日本であるのと同じようなデザインの下着が
売られていなくもないので、私の下着が珍しかったということは
ないだろう。
ひょっとすると、ストッキングが珍しかったのかもしれない。
日本でよく売られているような薄いストッキングは、実はまだ
中国ではあまり手に入らないのである。
薄いのは、くるぶし丈のストッキングだけであり、ちゃんとした
ストッキングというのはほとんど見かけない。お尻まで覆うような
タイプだと、タイツのような、生地の厚いものになってしまうのだ。

謎は解けたが、依然として腹は立つ。
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by jiubao | 2004-09-05 11:02 | 雑記